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半導体の限界を打ち破る新世代の“真空管”が開発

「メタサーフェス」を採用した半導体を使わないマイクロエレクトロニクスデバイス

 CPUなどのトランジスタはムーアの法則に従って半導体の製造プロセスが縮小されてきた。それに合わせて性能も上げてきたが、今後、さらなる縮小は技術的により困難になり、いずれは物理的な限界を迎える。実際、最先端を行くIntelでさえ、縮小サイクルがここへ来て長期化し始めている。

 そういった中 、米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者らは7日(現地時間)、半導体を使わない光学制御によるマイクロエレクトロニクスデバイスを開発したと発表した。これにより、半導体の限界を打ち破れるとしている。

 この新技術は、半導体トランジスタの前にコンピュータに使われていた真空管に近いもので、真空状態のデバイスに電圧を印加することで、電子を放出させる仕組みを採る。しかし、従来の真空管技術では、100V以上の高電圧や、高出力レーザー、500℃以上の高温が必要となり、現在のCPUのようなマイクロデバイスには提供できない。

 そこで開発されたのが、「メタサーフェス」と呼ばれる特殊な表面構造。シリコンウェハ上の酸化シリコンの上に、金でできたナノメートルサイズの“キノコ状”の構造物を並べた。ここに10Vの電圧をかけ、低出力の赤外線レーザーをあてると、

、高密度な電場のホットスポットが形成され、金属から真空空間へ電子を発射するのに十分なエネルギーが得られた。テストでは、導電性が1,000%向上。限界を迎える半導体の代替として、より高速なデバイスを実現できるとしている。

 研究チームでは、この技術が全ての半導体デバイスを置き換えるものではないとしているが、超高周波数、ハイパワーデバイスに好適だとしている。また、メタサーフェスの構造を変えることで、異なる種類のマイクロエレクトロニクスデバイスに最適化できるほか、光化学、光触媒、光電池などにも応用可能としている。

 今後は、この技術をどこまでスケールできるか、どこまで性能を高められるかといった研究を行なう。